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代表理事あいさつ

ご挨拶
鈴木堅史

代表理事 鈴木堅史
私たちは「ことばと人間を自然科学する」を基本のテーマに、多言語の自然獲得(習得)及び多国間交流の実践を通して、ことばと人間の科学的探求を進め、国際間の理解と人類の共生に寄与したいと思います。
「ことばと人間の探求」
『科学は人間によってつくられるものであります。これはもともと自明のことですが、簡単に忘れられてしまわれがちです。このことをもう一度思いかえすならば、しばしば嘆かれるような人文科学―芸術と、技術―自然科学という二つの文化の間にある断絶を少なくすることに役立つのではないでしょうか。』(『部分と全体』 W. ハイゼンベルグ著より)
『これからの地球はどんどん狭くなってゆくだろう。こどもたちが、そんな世界で伸び伸びと生きてゆける柔軟な感性をもった人間に育って欲しい。わたし自身、当り前の親としてそんな願いを持った、それが出発である。そのためには、ことばというものが何よりも大切なような気がしたのである。』(『ことばはボクらの音楽だ!』 榊原陽著より)

私たちが、ことばの教育というものを考える時、前提として不可欠の問題があります。それは「人間にとってことばとは何か」という命題です。ヒッポは、言語教育活動の出発点にその命題を真正面にすえ、根源的に問いを発することから活動を始めました。

それは多言語(多様性)に開かれた世界で、ことば(多言語)の自然獲得(習得)を自ら体験するとともに、その体験を通して交流しあい、普遍性をみつけるという「ことばと人間」についての実践的な活動のスタートでもありました。その実践的な活動を通して「人間のことば」に対する「理解や考え方」「言語観」が劇的に変化してきました。そしてその結果、どのことばを話すどの国の人に対しても心が開かれてゆくという感性が皆の中に育まれてきました。

私たちは、この活動の持つ「人間とことばへの分けへだてのない体験」を通して、それぞれのメンバーの自発性と自己発見の力、ことばに対するういういしい感性や、仲間たちとそれを分かち合う嬉しさなどが、多言語の獲得(習得)のみにとどまらず、すべての分野へ向かう姿勢となり、しなやかな人間形成への基盤になっていくことを目指したいと思います。そしてそのことば(多言語)が生き生きと働く場(環境)は在るものでなく、「その場に参加する人たち」「大きな家族のようなヒッポメンバーたち」によって、共に創られるものであり、その場でことば(多言語)を共有し、一緒に楽しみ、歌い見つけ創りだす、その生き生きとした場こそ「ことばと人間がしなやかに育つ環境」だと思います。
今後も、一般財団法人 言語交流研究所は、さまざまな実践活動を通して見えてきた成果の蓄積を、各界の専門家や研究・教育機関との協同活動・作業を通して世界に発信し、ことばや人種、国境、学問分野のあらゆる境を超えて「ことばと人間」の本質とは何かということを不断に問いながら、世界の人たちと交流をし、生き生きとした「ことばと人間の育つ環境」、「豊かな言語場」を一歩一歩、創り、広げていきたいと思います。