国際交流(ホームステイ)
海外インターンシップ
ヒッポは人と出会う活動だ
森雅典・大3/愛知県・アンジェロF
かわら版 / 第21号2015.10
僕は1歳のときからこの環境の中で育ってきたのに、それに何の意味があるのかずっと疑問に思っていました。それでも海外に行くのは好きだったので、これまでいくつかの交流プログラムには参加して、大学2年が終わるころには大学を1年休んでWIPでアメリカとケニアに行くことにしました。
僕がケニアに行こうと思ったのは、自分が大学で学んでいる林業ができるから。そして、日本とは全く違う環境に行きたいと思ったからです。いざ、ケニアでの暮らしを始めてみると、ケニア人は時間は守らない、借りたものは返さない、肌の白い僕が街を歩けばすれ違う人みんなから「Mzungu!(白人)」と呼ばれ、お金をくれと言われる。憤ることもたくさんありました。ですが、ある時「僕とこのケニアの人たちはどっちが変なんだろう」と考えました。すぐに、ここで変なのは僕だということに気づきました。
ケニアでは時間を正確に守るという概念が無く社会が成り立っています。外国人の僕が「なんで時間が守れないんだ!」と怒っても、変なやつだと思われるだけです。それに気づいてからは、ケニアの人たちの生き方に身を任せることにしました。僕の常識は、自分の狭い世界の中だけでの常識であって、一歩そこから外に出たらそれは全然正しいことではなかったのです。
WIPに行く前、多言語に興味が向かず相変わらずヒッポを続けていくことの意味を探す僕に、母は「ヒッポでは多言語をしているけれど、それ以前に人と会う活動だ」と言いました。でも、喋れなかったら意味ないだろ!としか思えませんでした。でも今、ケニアでの自分を思い返すと、人との距離をどうしたら縮められるかをずっと考えていたことに気づきました。目の前の人の話すことばに寄り添ってその人のことをより理解したい。僕が大事にしていたのは、その人が何を考え、どんな文化を持ち、どうやって僕と関わろうとしているかを考えることでした。そこには「何語じゃないといけない」というものはありません。人と出会うことが楽しいという感覚は多言語活動を通して得たのだろうと思います。