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高校留学

ぼくとママのドイツ語

千代田洋・ドイツ/出発時・高2

小4の時、ドイツの家族交流に参加したことがきっかけで、僕はYLでドイツに行くことにした。出願してから、毎朝1時間早く起きて母とイチローを1本メタ活したり、ファミリーでもみんなに頼んで一緒に一日中歌う日をつくったり、自分のアプリケーションは言えるようになって行きたいと思い、とにかく歌って準備をした。だから何となくドイツ語もわかるような気もしたし、自信もあった。

そして本番になりドイツへ。パパとママと同い年の女の子ナディーヌの3人家族で、行ってみて驚いたのはホストママはトルコの人だったし、パパとは結婚していないので、家の中でパパのことを「パパ」と呼ぶのは僕だけだった。

ママは僕と同じ17歳の時にトルコから移住してきてドイツ語にすごく苦労して、勉強して話せるようになったらしく、僕にもドイツ語を頑張りなさいと励ましてくれたけど内心は勉強はいやだな・・・と思った。でもママはそんな僕の気持ちにはお構いなく、毎朝10個単語を渡され夕方までに覚えておきなさいと言ったり、抜き打ち的に「ひろし、これはドイツ語でなんて言うの?」と聞いてきたり、冷蔵庫にKühlraumとか、ドアにTürとか家中のものにドイツ語で名前を書いた紙が貼ってあったりして、気持ちは嬉しいけど、これってどうなんだよと思いながら過ごしていた。何ヵ月かして学校の友だちは、結構ドイツ語うまくなったって言ってくれるようになっても、ママは「ひろしのドイツ語はまだまだね」って言うので、どうにかしてママに認めてもらいたいと思い、学校から帰ってきて毎日料理を手伝いながらママと話すのが日課になった。

そんなある日、僕の知らない近所の人が訪ねてきたので挨拶しなくちゃと思い近づいていくとその人が英語で話しかけてきた。僕もドイツ語の頭から英語に切り替えようとしたその時、ママが「ひろしはもうドイツ語がちゃんと話せるの!ドイツ語で話しかけて」と。僕はそのことばをすごく待っていた!ママが言ってくれたことが本当に嬉しかった!

結果的にYLの10ヵ月の中で一番たくさん話したのはママとだと思う。帰国する前にママが「頑張ったね。ひろしのドイツ語はアジア人のアクセントがなくて、本当にドイツ人のドイツ語だよ」と言ってくれた。そのことばも嬉しかったけど、僕のドイツ語はママがドイツで何十年も話してきたドイツ語をもらったんだし、いつまでもこのドイツ語を話し続けていきたいと思っている。