国際交流(ホームステイ)
ホームステイ受け入れ
ヘビンの気持ち
ゲスト:釜山韓日国際交流 キム ヘビンさん / ホスト家族:矢野 雅子さん(兵庫県)
ヒッポを始めて7ヵ月目、初めての受け入れをしました。ゲストは韓国の高校3年生のキム ヘビン。ヘビンにとっても初めてのホームステイ。それどころか初めての海外とのことでした。特別な思い出をつくってあげたい一心で、どこに行こうか、何を食べようか、一生懸命に計画をたてて、ヘビンの意見も取り入れながら実行しました。
ホームステイ最後の夜。滞在中に撮った写真をヘビンと一緒に見ていた時に「日本での最高の思い出になった写真はどれ?」と聞くと、彼女は迷わずにファミリーの持ち寄りの写真を選んだのです。正直、私はがっかりしました。それなりの労力やお金を使って、いろいろな場所に出かけ、一緒に楽しんだつもりだったから・・・。以前、私の所属するフェロウが「私はホームステイに行ったら、観光よりたくさんの人に出会ったり、話しをするほうが楽しい」と言ってたのですが、その時は半信半疑でした。でも今回、ヘビンが選んだ写真を見て、本当のことだったのかもと気づきました。
ヘビンはほとんど日本語を話すことができず、私もまた韓国語をほとんど話すことができなかったので、お互い伝えたいことがあっても、途中で諦めたり、妥協してしまうことがたくさんありました。それに彼女はあまりにも苦手な食材が多く、私の料理にもほとんど手をつけなかったので、私自身にもヘビンとの壁を感じたままでした。でもファミリーでの持ち寄りパーティでは、皆が韓国語でヘビンに話しかけ、韓国の若者ことばで盛り上がり、ヘビンがつくったキムチチヂミやチャパゲッティを皆で食べました。思えば滞在中でヘビンが一番リラックスしていた時間だったのかもしれません。
私とヘビンの心が本当に通じ合ったと思えたのは、最後の夜にヘビンの気持ちに気がついてから寝るまでの1時間でした。紙とペンでお互いの伝えたいことを、相手が理解できるまで諦めないで話し、笑い合いました。ヘビンが帰国前に書いたホームステイの感想文の中に「お互いの書いた字は違うけれど、お互いが話したいことが心でわかりましいた」と韓国語で書いてありました。それを読んだのは、ヘビンが出発した後のこと。最後の夜のことを言っているのだとわかって、胸が熱くなりました。
毎朝寝坊をするヘビン、リアクションが小さいヘビン、低い声で笑うヘビン、偏食がひどいのに将来はシェフになりたいというヘビン、カメラを片手にちょこちょこ写真を撮っては楽しそうなヘビン、おしゃれが大好きなヘビン・・・いろんなヘビンを思い出して、彼女のすべてを心からかわいいと思えました。同時に、どうしてもっと早くヘビンの気持ちに気づいてあげられなかったのだろうと考えると悔しくて涙が出ます。初めての受け入れはたった4泊5日だったけれど、この受け入れを申し込んだ1ヵ月前から始まって、ヘビンが帰った今もまだ続いています。