国際交流(ホームステイ)
家族のホームステイ
多言語でベトナム語を見つけた!!
川口福美・フェロウ/神奈川県・ピカピカF
かわら版 / 第20号2015.06
ベトナム交流に参加しようと思ったのは、ベトナム語はヒッポで一番新しいことばだから、大人の私も「ことばの赤ちゃん」をやるチャンスだと思ったから。行く前にCDから聞こえてきたのはあいさつぐらい。ベトナム語の「Yes」と「No」も知らなかった。「トイ=私」だとはわかったけど、あなたが何なのかはわからない。今はネットで簡単に調べられる。ポチッとしようかな!?でもそれじゃあつまらない。そのままで出発した。
ホスト家族は20歳のフィエンをはじめ、メー(お母さん)、ボー(お父さん)も私より年下。「私はここではコンべ(赤ちゃん)で、あなたがメー(お母さん)ね」と言ったら、いえいえ、あなたは「チー」だからと受け入れてもらえなかった。店員さんを呼ぶには「エm オ~イ」でいいと聞いていたが、フィエンが年上の店員さんを呼ぶ時は「チオ~イ」。年上の私には手を添えて物を差し出す。相手が年上かどうかにこだわり、ことばもしぐさも変えるベトナムの人、とっさに韓国と同じ!儒教の教えだと思った。
行く前に、あいさつとか「チー」とかしか聞こえないと思っていたけど、そのことばとそのことばを使う人たちの営みの中で、いちばん大事にしているものが聞こえていたことに気づいて、自然習得ってすごい!!自分の耳をもっと信じていいんだと思った。じゃんけんは「カイルマイルバオ」と韓国語の「カイバイボ」にそっくり。「Depデップ(美しい)」はこれまた韓国語の「イェップ」にそっくり。「美しすぎる」は「デップクヮ」となる。クヮは「か=過」だろうととっさに思い浮かんだ。看板で見た「Chú ý」は「注意」とすぐわかる。フエの王宮の説明で「Thien tu」と見たら「天子」と思い浮かぶ。名前にも「トゥイ=水」「ティm = 善」「フォン=風」など漢字の意味がある。聞こえてきたのは韓国語や中国語だけではない。ベトナムでは「アロー」と電話に出る。駅のことは「ギャー」という。電話や電車はフランスから入ってきた。だからそれにまつわるフランス語も一緒に取り込まれているそうだ。メーとボーはベトナム語だけを話す。何となくわかるから、私は心地よく過ごしていた。
でも最後の日、メーが「私ももっと英語や日本語が話せればよかった。福美ももっとベトナム語を話して!姉妹みたいに思っているから、もっと話したい」と言っていると聞かされた。私ももっとベトナム語を、メーと深く話せることばを話したいと心の底から思った。目の前の人とわかりあうためにその人のことばを話したい。それが私にとってヒッポを続ける原点なのかもしれないと思ったベトナム交流だった。